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応用編定理・法則

キルヒホッフの法則
複雑な回路を連立方程式で攻略しよう

直列・並列の合成抵抗や
オームの法則だけでは、
「電池が2つ以上ある回路」
「複雑な回路網」
解くことができません。

そんな時に登場する最強のツールが
「キルヒホッフの法則」です。
一見難しそうに見えますが、
ルール自体はとてもシンプル。

2つの法則を使って
「連立方程式」を立てるだけの
パズルゲームのようなものです。

1. キルヒホッフの第1法則(電流則:KCL)

第1法則は「分岐点(交差点)における電流のルール」です。 水路の交差点をイメージしてください。「流れ込んでくる水の量」と「出ていく水の量」は絶対に同じになりますよね?電流も全く同じです。

I₁I₂I₃
流れ込む電流の和 = 流れ出る電流の和

例えば、上図のようにある分岐点に向かって I1I_1 が流れ込み、そこから I2I_2I3I_3 が流れ出ている場合、数式は以下のようになります。

I1=I2+I3I_1 = I_2 + I_3

2. キルヒホッフの第2法則(電圧則:KVL)

第2法則は「閉回路(ぐるっと一周できる輪っか)における電圧のルール」です. 今度は「登山」をイメージしてください。山を登ったり下ったりしても、元の出発地点に戻ってくれば、高さの変化はトータルで「ゼロ」になります。

12V10Ω20ΩI
  • 電池(起電力) = エレベーターで上に登る(+電圧)
  • 抵抗 = 坂道を下る(-電圧、つまり電圧降下)
1周回ったときの起電力の和 = 電圧降下の和

数式にすると難しく見えますが、電池の電圧 EE と、抵抗での電圧降下(オームの法則より I×RI \times R)を等号で結ぶだけです。

E=I×R1+I×R2E = I \times R_1 + I \times R_2

3. 実際に解くための4ステップ

いざ問題を目の前にすると「どこから手をつければいいの?」と迷ってしまいます.以下の4つのステップを機械的にこなせば、図のような複雑な回路も必ず解けます.実際に数値を求めてみましょう!

9V10Ω20Ω30Ω6VI₁I₂I₃分岐点A

Step 1. 電流の向きを「適当に」決める

回路の各部分に流れる電流を I1,I2,I3I_1, I_2, I_3 と置き、図のように矢印を描き込みます.この時、向きは間違っていても全く問題ありません.

Step 2. 分岐点で第1法則の式を立てる

「分岐点A」に注目します.流れ込む電流は I1I_1I3I_3、流れ出る電流は I2I_2 です.

I1+I3=I2I_1 + I_3 = I_2

Step 3. 閉回路(ループ)を決め、第2法則の式を立てる

左側と右側の閉回路について、それぞれ電圧の式を立てます.

① 左側の閉回路(時計回り)

10I1+20I2=910 I_1 + 20 I_2 = 9

② 右側の閉回路(反時計回り)

30I3+20I2=630 I_3 + 20 I_2 = 6

Step 4. 連立方程式を解く

Step 2 の式を Step 3 の各式に代入して整理すると、以下の2式になります.

30I1+20I3=930 I_1 + 20 I_3 = 9

20I1+50I3=620 I_1 + 50 I_3 = 6

これを解くと、驚くべき結果が得られます!

I1=0.3AI_1 = 0.3\text{A}

I3=0AI_3 = 0\text{A}

I2=0.3AI_2 = 0.3\text{A}

なんと I3I_30A0\text{A} になりました! これは分岐点Aの電圧がちょうど 6V6\text{V} になるため、右の電池 (6V6\text{V}) とピッタリ釣り合ってしまい、右側のルートには一切電流が流れないという現象が起きているのです.とても面白いですね!

電流の向きを間違えていたらどうなるの?

Step 1で「向きは適当でいい」と説明しました.もし最初に予想した電流の向きが現実と逆だった場合、計算結果が「マイナス(例:I1=2AI_1 = -2\text{A})」になって出てきます. マイナスが出たら「あ、実際の電流は矢印と逆向きに 2A2\text{A} 流れているんだな」と後から気づけるので、最初は何も心配せずに式を立てて大丈夫です!

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