直列・並列の合成抵抗や
オームの法則だけでは、
「電池が2つ以上ある回路」や
「複雑な回路網」を
解くことができません。
そんな時に登場する最強のツールが
「キルヒホッフの法則」です。
一見難しそうに見えますが、
ルール自体はとてもシンプル。
2つの法則を使って
「連立方程式」を立てるだけの
パズルゲームのようなものです。
1. キルヒホッフの第1法則(電流則:KCL)
第1法則は「分岐点(交差点)における電流のルール」です。 水路の交差点をイメージしてください。「流れ込んでくる水の量」と「出ていく水の量」は絶対に同じになりますよね?電流も全く同じです。
例えば、上図のようにある分岐点に向かって が流れ込み、そこから と が流れ出ている場合、数式は以下のようになります。
2. キルヒホッフの第2法則(電圧則:KVL)
第2法則は「閉回路(ぐるっと一周できる輪っか)における電圧のルール」です. 今度は「登山」をイメージしてください。山を登ったり下ったりしても、元の出発地点に戻ってくれば、高さの変化はトータルで「ゼロ」になります。
- 電池(起電力) = エレベーターで上に登る(+電圧)
- 抵抗 = 坂道を下る(-電圧、つまり電圧降下)
数式にすると難しく見えますが、電池の電圧 と、抵抗での電圧降下(オームの法則より )を等号で結ぶだけです。
3. 実際に解くための4ステップ
いざ問題を目の前にすると「どこから手をつければいいの?」と迷ってしまいます.以下の4つのステップを機械的にこなせば、図のような複雑な回路も必ず解けます.実際に数値を求めてみましょう!
Step 1. 電流の向きを「適当に」決める
回路の各部分に流れる電流を と置き、図のように矢印を描き込みます.この時、向きは間違っていても全く問題ありません.
Step 2. 分岐点で第1法則の式を立てる
「分岐点A」に注目します.流れ込む電流は と 、流れ出る電流は です.
Step 3. 閉回路(ループ)を決め、第2法則の式を立てる
左側と右側の閉回路について、それぞれ電圧の式を立てます.
① 左側の閉回路(時計回り)
② 右側の閉回路(反時計回り)
Step 4. 連立方程式を解く
Step 2 の式を Step 3 の各式に代入して整理すると、以下の2式になります.
これを解くと、驚くべき結果が得られます!
なんと は になりました! これは分岐点Aの電圧がちょうど になるため、右の電池 () とピッタリ釣り合ってしまい、右側のルートには一切電流が流れないという現象が起きているのです.とても面白いですね!
電流の向きを間違えていたらどうなるの?
Step 1で「向きは適当でいい」と説明しました.もし最初に予想した電流の向きが現実と逆だった場合、計算結果が「マイナス(例:)」になって出てきます. マイナスが出たら「あ、実際の電流は矢印と逆向きに 流れているんだな」と後から気づけるので、最初は何も心配せずに式を立てて大丈夫です!