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基礎編測定・計算の基礎知識

有効数字と測定誤差
測定と計算の必須知識

テスター(オシロスコープやマルチメータ)で
電圧や電流を測定したとき、
その数値には必ず「限界(誤差)」が存在します。

また、計測した値を用いて電卓で計算して
そのまま値を書くと
減点されるかもしれません。

意味のある確かな数字だけを残す「有効数字」と、
測定値のズレを評価する「測定誤差」の考え方を理解しよう

1. どこまでが「有効数字」なのか?

有効数字とは、「測定器具の精度として、信頼できる意味のある数字の桁数」のことです。数え方にはいくつかの引っかけポイントがあります。

数値の例有効数字の桁数判定の理由・ルール
1.233桁ゼロ以外の数字はすべて数えます。(1, 2, 3)
0.00122桁先頭のゼロは数えません。(位取りをしているだけだから)
1.0024桁数字に挟まれたゼロは数えます。
1.2004桁末尾のゼロは数えます。(わざわざ書く=そこまで精度がある証拠)

2. 電卓の答えをどう変えるか?

実験で得られた数値を使って計算(オームの法則など)をした後、最終的な答えをどの桁で四捨五入するべきかには、明確なルールがあります。「掛け算・割り算」「足し算・引き算」でルールが変わる点に注意してください。

掛け算・割り算のルール

ルール:一番「桁数」が少ないものに合わせる

例: 1.23 (3桁) × 4.5 (2桁)

電卓の答え: 5.535

少ない方の「2桁」に合わせるため、上から3桁目(3)を四捨五入します。

答え = 5.5

足し算・引き算のルール

ルール:一番「末位が高い(精度が低い)」ものに合わせる

例: 12.3 (小数第1位) + 0.05 (小数第2位)

電卓の答え: 12.35

精度の荒い「小数第1位」に合わせるため、小数第2位(5)を四捨五入します。

答え = 12.4

※注意:計算の途中で四捨五入してしまうと「丸め誤差」が蓄積して答えがズレます。四捨五入するのは必ず「最後の答えを出す瞬間だけ」にしましょう。

3. なぜズレるのか?誤差を生み出す2つの原因

どれだけ慎重に実験をしても、測定値には必ず「誤差」が含まれます。誤差を生み出す原因は、大きく以下の2つに分けられます。

系統誤差 (Systematic Error)

測定器が最初から値がズレていたり、測定器具の目盛りを読むクセなどによって生じます。

常に一定の値でズレるのが特徴です。

どれだけ何回も測定して平均をとってもズレたままですが、原因を見つけて補正することで取り除くことができます。

偶然誤差 (Random Error)

微細な変化、回路に乗るノイズ、読み取りの限界などによって生じる、コントロール不可能なバラつきです。

ランダムにズレるのが特徴です。

完全に取り除くことは不可能ですが、「何度も測定して平均値をとる」ことで、本来の値に近づける(誤差を小さくする)ことができます。

4. レポート作成の実践知識

実験レポートで絶対に使う「誤差率」の計算式

相対誤差(誤差率)の求め方

実験レポートの「考察」で必ず求められるのが、計算で求めた理想の値(理論値)に対して、実際にテスターで測った値(測定値)がどれくらいズレていたかを示す「誤差率(相対誤差)」です。

誤差率[%]=測定値理論値理論値×100\text{誤差率} [\%] = \frac{|\text{測定値} - \text{理論値}|}{\text{理論値}} \times 100

※分子の絶対値(| |)は「プラスマイナスに関わらず、どれだけズレたかの大きさ」を見るためにつけます。もし理論値が 5V で測定値が 4.9V だった場合、誤差率は 2% となります。この誤差が「系統誤差」によるものか、「偶然誤差」によるものかを分析して書くのが、最高のレポート考察です!

おまけ:「正確さ(Accuracy)」と「精度(Precision)」の違い

日常会話では同じ意味で使われがちですが、工学や統計の世界では明確に区別されます。ダーツの的をイメージすると分かりやすいです。

高精度・低正確度
(High Precision, Low Accuracy)

High Precision, Low Accuracy

点の集まりは良いですが、
的の中心からはズレています。

低精度・高正確度
(Low Precision, High Accuracy)

Low Precision, High Accuracy

バラついていますが、
平均的に中心に近くなります。

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